おくむら大腸肛門クリニック

私はもともと大学病院で消化器外科に所属しており、その中でも大腸がんの担当をしておりました。そのため多くの大腸の手術に立ち会ってまいりましたが、がんの発見が遅れたことで命を落とされた方も少なくありませんでした。
そのような経験から、手遅れになる方を減らしていきたい、まだ治せるうちにできるだけ早くがんを発見したい、という気持ちが強くなり、それが当院で内視鏡検査に力を入れるきっかけとなりました。
当院は名前のとおり肛門科のクリニックですので、「便に血が混じっている」という症状で来院される方も多いのですが、そのような場合は一定の割合で大腸がんが隠れていることがあるので、内視鏡検査をおすすめするようにしています。
下血以外にも、「最近便の出かたがおかしい」「会社の健康診断の便潜血検査で引っかかってしまった」といった症状の場合も、念のために内視鏡での検査を受けていただくように努めています。

いまだに「内視鏡検査はとてもつらい」というイメージが独り歩きしている状態で、検査をおすすめしても二の足を踏まれる患者さんもまだまだいらっしゃいます。
当院では、軽く麻酔（鎮静剤）を使用して、まるで半分眠っているかのようなウトウトした状態で検査を受けていただくことも可能ですし、検査前に飲んでいただく下剤についても、以前は飲む量が多く大変でしたが、もっと少ない量で効果が出る新しいものをご用意し、患者さんに選んでいただけるようにしています。また検査の際には個室もご用意できますので、人目を気にせず落ち着いて受けていただくことができます。

大腸がんは早期発見できればかなりの高確率で治せる病気です。それを見つけるためには内視鏡検査が欠かせません。定期的に検査を受けることで、大腸がんで生命の危険に陥ることはほぼなくなるのです。だからこそ、患者さんにはもっと気軽に検査を受けていただきたいですし、病院側も検査の敷居を低くできるような環境づくりを続けていくことが必要なのではないかと考えています。