内視鏡検査の種類

内視鏡の種類について

使用目的・対象部位にあわせた豊富な種類

内視鏡は臓器や用途に合わせて作られており、太さや長さといった豊富な種類があります。 特に使用数が多いのが、消化器内視鏡検査です。まずは病巣を明らかにするための観察として使用されます。モニター越しに肉眼で見る以外に、写真や動画による観察、顕微鏡で病気の診断を行うために、組織の一部を採取する(病理組織検査)なども可能です。内視鏡検査は、特に胃や腸などの管腔臓器(かんくうぞうき)に対して、粘膜の状態を観察するために有効な検査方法といえます。

主な消化器内視鏡検査

上部消化管内視鏡検査

上部消化管内視鏡検査とは

上部消化管内視鏡検査とは、食道・胃・十二指腸を対象に行う内視鏡検査です。一般的には、「胃カメラ」という名称で呼ばれることも多くあります。内視鏡は口もしくは鼻から挿入します。先端には超小型CCDカメラと照明が付いており、臓器や器官の状態をモニターにリアルタイムで表示させ、炎症・潰瘍・腫瘍・ポリープの有無を観察していきます。

検査の方法

上部消化管内視鏡検査の検査方法は、大きく2種類に分けられます。

経口内視鏡検査

経口内視鏡検査では、まず液体の麻酔薬をのどに溜めてから、ゆっくりと飲み込みます(麻酔薬を吐き出すよう指示する施設もあります)。マウスプースを口に装着した状態で内視鏡を口から挿入し、食道・胃・十二指腸を順番に観察していきます。病変が疑われる場合は組織の一部を採取し、顕微鏡下で病理組織検査(生検)を行う施設もあります。検査時間は通常5分~10分程度です。

経鼻内視鏡検査

経鼻内視鏡検査では、まず鼻の通りを良くするお薬(ブリビナ®)を噴霧します。ブリビナには、鼻出血を予防する効果が期待できます。また、麻酔薬で鼻の中の麻酔も必要です。 (のどの麻酔を追加する施設もあります)。その後は検査台に身体の左側を下にして、横向きの状態で寝ていただきます。内視鏡を鼻から挿入し、経口内視鏡検査と同様に食道・胃・十二指腸の状態を観察します。 検査時間は通常5分~10分程度です。

検査で発見可能な病気

  • 逆流性食道炎
  • 食道ポリープ
  • 食道がん
  • 胃炎(ピロリ菌未感染・現感染・既感染・除菌後)
  • 胃ポリープ
  • 胃潰瘍
  • 胃がん
  • 十二指腸潰瘍 など

胆膵内視鏡検査

胆膵内視鏡検査とは

膵臓内視鏡検査とは、胆嚢・胆管・膵臓の病気に対する診断に欠かせない内視鏡検査です。口から内視鏡を挿入し、臓器の状態や病変の有無を観察します。使用する内視鏡は、十二指腸鏡や超音波内視鏡が主流です。また、胃全摘術などの手術後には、小腸鏡を用いるケースもあります。検査方法は主に、造影剤を使用する「内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)」と、超音波の力を利用する「超音波内視鏡(EUS)」の2つに分けられます。

検査の種類

  1. 01内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)

    十二指腸に到達した内視鏡の先端から、カテーテル(細い管)を胆管や膵管に挿入します。カテーテルから造影剤を入れることで、胆管や膵管のX線写真を撮影できます。また、検査中に胆汁や膵液を採取し、病変組織の一部を採取した病理組織検査も可能です。

  2. 02超音波内視鏡(EUS)

    内視鏡の先端部分には超音波振動子が付いており、口から胃・十二指腸に挿入した状態で、胆嚢・胆管・膵臓を観察できます。超音波内視鏡は、体外式の超音波検査では観察が難しい箇所の検査に適しています。また、病変の鮮明な画像を取得しやすく、より的確な診断をサポートしてくれます。

検査で発見可能な病気

  • 胆管ポリープ
  • 総胆管結石
  • 胆管腫瘍
  • 胆嚢ポリープ
  • 胆嚢胞
  • 膵腫瘍 など

小腸内視鏡検査

小腸内視鏡検査とは

小腸疾患は多くありませんが、原因不明の消化管出血を引き起こす血管性病変、クローン病やお薬の副作用による潰瘍といった炎症性病変、悪性リンパ腫やがんのような腫瘍性病変が生じる恐れがあります。しかし、小腸は口や肛門からも遠い以外に、6m以上の長さを持つ臓器です。従来は診断が困難でしたが、近年は小腸内視鏡が進歩し、小腸疾患の診断や内視鏡的治療も可能になっています。

検査の種類

  1. 01小腸カプセル内視鏡検査

    小腸カプセル内視鏡検査とは、カプセル型の内視鏡を使用し、病変を直接観察できます。通常の内視鏡検査では、口や鼻から挿入する際に痛みや違和感が生じる心配があります。一方、小腸カプセル内視鏡であれば、錠剤のようにカプセルを飲み込むだけですので、患者様の身体に負担がほとんどかかりません。海外では小腸疾患の診断をはじめ、クローン病での粘膜の状態をモニタリングするためにも利用されています。

  2. 02バルーン内視鏡

    バルーン内視鏡には、長さ約2mのスコープとバルーンが取り付けられ ており、オーバーチューブと呼ばれる特殊な形状です。X線透視で位置を確認した状態で、バルーンを膨らませたりしぼませたりした上で、オーバースコープとスコープを進めては引く作業を繰り返しながら、長い小腸の奥へと進んでいきます。バルーン内視鏡は、お口もしくは肛門からの挿入が可能です。また両方から挿入することで、小腸のすべてを一度の検査で観察できます。

検査で発見可能な病気

  • ポリープ
  • 潰瘍
  • 腫瘍
  • 静脈瘤
  • クローン病 など

下部消化管内視鏡検査

下部消化管内視鏡検査について

下部消化管内視鏡検査では、直径1cmほどのスコープを肛門から大腸の一番奥まで挿入し、少しずつ引き抜きながら大腸内を観察していきます。検査からは、大腸内に発生するポリープや潰瘍、がんなどの診断が可能です。「検査は苦しい」というイメージがありますが、検査では最新鋭のスコープや鎮静剤を適切に使用し、熟練した技術を持つ医師が担当するため、検査中の苦しさはほとんどありません。不快感なく検査を受けていただくには、事前準備に対する患者様のご協力が重要です。

基本的な検査の流れ

  1. 01検査前日

    検査前日の昼食と夕食は、検査食を食べていただきます。夕食は午後7時頃までに済ませ、食後は下剤をお飲みください。お腹の調子が落ち着くまでに、4時間~5時間程度かかります。睡眠時間を確保するためにも、下剤はなるべく早めに飲みましょう。

  2. 02検査当日

    検査当日はご自宅や院内で、検査用下剤を飲んでいただきます。便が完全にきれいになるには、お手洗いに複数回行くことが必要です。大腸内視鏡検査の検査時間は15分程度です。検査後は一時的に休んでいただき、検査結果をご説明します。病理組織検査やポリープ切除術を行った場合は、当日のアルコールの摂取やスポーツは禁止です。食事も消化にやさしいメニューにしましょう。通常の検査のみの場合も、当日はまっすぐに帰宅しましょう。

  3. 03検査後

    検査後は約1時間程休養した後に、医師から検査結果を説明されます。鎮静剤を使用した場合、帰宅時の運転は控えるようにしましょう。

検査で発見可能な病気

  • 大腸ポリープ
  • 潰瘍性大腸炎を含む大腸炎症性疾患
  • 大腸憩室症
  • 大腸がん など